このケイヒン純正PE24は、徹底洗浄、ニードルジェット、ホルダー、ニードル交換、フロート高さ、フロートバルブ、バルブシート、負圧系統まで確認しても、オーバーフローが止まりませんでした。
使用していた9.9gの純正フロートを、9.1gの新品社外フロートへ交換すると改善しました。
さらに軽い7.8gの別キャブ用フロートでは、オーバーフローは直らず、エンジンの調子も悪化しました。
フロートは軽さだけで選べません。
フロート交換までに試した順番
| 順番 | 行ったこと | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | キャブレターを徹底洗浄してオーバーホール | 直らなかった |
| 2 | 摩耗したニードルジェット、ニードルジェットホルダー、ジェットニードルを新品交換 | 直らなかった |
| 3 | フロート高さ23mmを確認し、当時は手元の取説どおりと判断して未調整 | 高さ調整は行わなかった |
| 4 | フロートバルブを新品交換 | 直らなかった |
| 5 | 圧入式バルブシートの当たり面を修正 | 直らなかった |
| 6 | フロートを振り、内部の液体音を確認 | 音がせず、当時はいったん問題なしと判断した |
| 7 | 新品の負圧ポンプと負圧ラインを確認 | 負圧ホース内にガソリンはなかった |
| 8 | 負圧ホースを約60cm、約120cmへ延長 | 直らず、120cmでは燃料供給が約5秒遅れた |
| 9 | 使用品と新品社外フロートを水で比較し、重量を測定 | 水では同じように浮き、重量は9.9gと9.1gだった |
| 10 | 9.1gの新品社外フロートへ交換 | オーバーフローが改善した |
| 11 | 7.8gの別キャブ用フロートを試した | 直らず、調子も悪化した |
始まりは、ひどいオーバーフロー
対象は、AF27ボアアップ車へ装着したケイヒン純正PE24です。
燃料がオーバーフローパイプから流れ続けるため、まずキャブレターの定石から確認しました。
キャブレターを徹底洗浄して、消耗部品を見直した
キャブレターを分解し、通路と部品を徹底洗浄しました。
オーバーホール時には、摩耗していたニードル系部品も新品へ交換しました。


ニードルジェットも新品へ交換した
使用していたニードルジェットと新品を比べると、摩耗により穴の大きさが違って見えました。
デイトナ品番32541のニードルジェットへ交換しました。

ニードルジェットホルダーも新品へ交換した
ニードルジェットホルダーも、旧品と新品で穴の大きさが違って見えました。
デイトナ品番32548のニードルジェットホルダーへ交換しました。

ジェットニードルも新品へ交換した
ジェットニードルも新旧を比較し、デイトナ品番32539のジェットニードルセットへ交換しました。

これらはキャブレター全体の摩耗を直すために行った作業です。3部品を交換しても、オーバーフローは止まりませんでした。
フロート高さは23mmで、当時は未調整とした
フロート高さは23mmでした。当時は手元の取扱説明書の標準値と一致していると判断し、高さは変更しませんでした。
この23mmを、すべてのPE24に共通する標準値とは扱いません。
フロートバルブを新品へ交換した
次に、燃料を止めるフロートバルブの密閉不良を疑い、新品へ交換しました。

新品社外品は旧品より約0.2mm長く見えると、当時は感じました。これは精密測定値ではなく、新旧を見比べた時の記録です。
交換しても、オーバーフローは直りませんでした。
圧入式バルブシートの当たり面も整えた
フロートバルブが当たるバルブシートも疑いました。
このPE24は、バルブシートが圧入されているため、単体交換する構造ではありません。
そこで木の箸先へコンパウンドを付け、当たり面を整えました。
削り過ぎると、密閉面を悪化させる作業です。この車両では慎重に行いましたが、症状は変わりませんでした。
フロートを振り、問題なしと思い込んだ
フロートの破損も疑い、取り外して振りました。
内部で液体が動く音がしなかったため、当時は問題なしと判断しました。
後日、この純正フロートは中空ではなく、発泡樹脂で詰まった構造だと知りました。
中空ではないので、振っても「ちゃぷちゃぷ」と音がしないのは当然でした。
次に、負圧ポンプの供給が強すぎると考えた
AF27は、燃料タンクがキャブレターより低い位置にあります。そのため、エンジンの負圧脈動を使うポンプで燃料を送ります。
当時は、78cc化したエンジンの負圧が強く、ポンプが燃料を押しすぎて、フロートバルブを開けているのではないかと考えました。


負圧ポンプが破損すると、負圧ホースへガソリンが入ることがあります。
しかし、新品ホースへ交換したときも、延長実験で外したときも、ホース内にガソリンはありませんでした。

負圧を弱めるため、ホースを約60cmへ延長した
負圧脈動をホース内で弱められないかと考え、通常の約2倍となる、約60cmのホースを取り付けました。
オーバーフローは変わりませんでした。


約120cmまで延長すると、燃料が遅れて出た
2倍でだめなら4倍と考え、約120cmまで延長しました。
オーバーフローは止まらず、今度は燃料が、約5秒遅れて出るようになりました。
これでは走れないため、ホース延長は中止しました。

最後に、もう一度フロートへ戻った
洗浄、フロートバルブ、バルブシート、負圧系統を確認しても直りませんでした。そこで、最初に問題なしとしたフロートを見直しました。
発泡樹脂へガソリンが染み込み、以前より重くなって、浮きにくくなっているのではないか。そう考えて、新旧のフロートを計量しました。
水では、どちらも同じように浮いて見えた

見た目だけでは差が分からなかったため、デジタルスケールで重量を比べました。
9.9gから9.1gへ交換すると、改善した


9.1gの新品社外フロートへ交換すると、このケイヒン純正PE24では、オーバーフローが改善しました。
現在も、この組み合わせで使っています。
水よりガソリンの方が、重量差が表れやすい
水では同じように浮いても、ガソリンでは沈み方の差が出やすい。この説明は、物理的に正しい方向です。
水の密度は約1.0g/mLです。
ガソリンは配合や温度で変わりますが、およそ0.74g/mLの例があります。
0.8gの重量差を支えるために必要な排除体積は、水では約0.8mL、密度0.74g/mLのガソリンでは約1.1mLです。
水より密度の低いガソリンでは、同じ重量差でも、沈み方の差が少し大きく出ます。
ただし、キャブレター内では、フロートが軸で支えられ、アームでバルブを押します。
実際の結果は、重量だけでなく、形状と組み合わせでも変わります。
7.8gの別キャブ用フロートでは、悪化した

この7.8gフロートを、ケイヒン純正PE24へ付けても、オーバーフローは直りませんでした。
さらにエンジンの調子も悪くなりました。
Jetsetmoto用フロートは、JetsetmotoのPE24タイプキャブへ戻しました。ケイヒン純正PE24には、9.1gの社外フロートを使っています。
同じ症状なら、この順番で確認する
- 燃料を止めるオーバーフロー中は火災の危険があるため、エンジンを止め、燃料ホースを安全に止めます。
- キャブを洗浄するフロート室、通路、フロート軸の動きを確認します。
- 摩耗部品を見るニードルジェット、ホルダー、ジェットニードルの摩耗と穴の変化を確認します。
- フロート高さを記録する測定方法と、そのPE24に使う取扱資料を確認し、変更前の値を残します。
- フロートバルブとシートを見る先端の段付き、ゴミ、当たり面の傷を確認します。
- フロートの動きを見る引っ掛かり、変形、アーム位置を確認します。
- 負圧ポンプとホースを見る負圧ホース内への燃料侵入、ホースの割れ、ポンプの状態を確認します。
- 同じPE24用の新品フロートと比べる別キャブ用を重量だけで選ばず、形状とバルブの押し方が合う物を使います。
9.1gは万能な基準値ではありません。
私のケイヒン純正PE24で改善した、実際の測定値です。
よくある質問
フロート交換で直りますか?
この車両は、9.1gの新品フロートで改善しました。
最初にどこを見ますか?
洗浄、フロートバルブ、バルブシート、フロートの順に見ます。
AF28でも同じですか?
確認順は使えます。結果はAF27・78cc車の記録です。